まどれーぬの音楽帳

クラシック音楽(主にピアノ曲)が好きな主婦です。好きな曲、好きなピアニスト、再開したピアノレッスンのこと、コンサートの感想などを気ままに綴ります。

「プロフェッショナル 仕事の流儀〜樫本大進」(感想)

NHK総合のTV番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」でヴァイオリニストの樫本大進氏が取り上げられていたので、興味を惹かれて見てみました。

樫本氏は2010年よりベルリン・フィルのコンサートマスターを務められていて、私は恥ずかしながら、オーケストラにもヴァイオリ二ストにも疎いので日本人の方がコンマスだとは存じ上げず、樫本氏のお名前は目にしたことはありましたが、この番組でご本人を初めて知りました。

 

まず、ウォーミングアップで弾かれたバッハ無伴奏の艶っぽい音色に、おっと思いました。さすがこの若さ(38歳)でこのポストにつくだけあり、只者ではないと察しはつきましたが、幼少期からヴァイオリンの天才少年だったと後に紹介が入り、納得。

 

樫本氏が団員とコミニュケーションを取る様子、リハーサルでの指揮者とのやり取り、本番の演奏の様子を見ていると、彼は演奏家、コンマスとして優秀であると同時に、人間的にも魅力ある方なのが伝わってきました。

ソリスト出身だというから個性の強い方かと思ったら、控えめで気負ったところがない、職人気質な雰囲気。

急な指揮者の変更に淡々と対応する様子なども頼もしく、団員の方に信頼されてる様子が伝わってきました。(言葉でなんと言おうと、空気に出ますよね^ ^;)

 

座右の銘は 'No Risk, No Fun'、リスクがなければ面白くない、ということで、淡々とした印象とは裏腹に、タフでらっしゃる。まあ、それくらいでないと務まらない立場でしょうが…

 

17歳でロン=ティボー国際コンクールで最年少で優勝し、ソリストとして華々しく活躍をされていたところに、ベルリンフィルのコンマスのオファーが。

座右の名、に従ってオファーを受けるも、コンマスとしての仕事は最初から順調だったわけではなく、団員からの風当たりも強かったようです。(オーケストラに所属したこともない若造に何がわかる、ということで)口を聞いてもらえず、落ち込んだこともあったそうで。いくらソリストとしての実力があったところで、それとこれは別、なのでしょうね。うーむ、さすが天下のベルリンフィル…

もしN響に外国人のソリストがコンマスとして入ってきたとしたら同じことが起きるだろうか?とか考えてしまいましたが 笑

 

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「新世界」のボウイングを変えてみるというアイデア、私は面白く拝見しましたが、弦楽器をやられてる方はどう思われたでしょうか。

ずーっと同じボウイングで弾かれてきたものを変える、というのが、どこまでイレギュラーで伝統を覆す行為なのか、は私には分かりませんが…オファーする樫本氏の勇気(もちろん、その意図には音楽的な必然性があるのですが)と、受け入れたオーケストラの懐の深さ、は共に素晴らしく、これまでも伝統に頑なにこだわらずに、細部を更新していくことでオーケストラの価値を高めてきたのだろうな、と思わされました。

 

大変楽しめましたが、欲を言えば、樫本氏に、ソリストとして弾くときとオーケストラの一員として弾くときの演奏の違いや、オーケストラでの経験がソリストとして弾くときにどう生かされてるか、などの突っ込んだ質問をして欲しかったな、と…(音楽番組ではないので、贅沢ですね)

 

というわけで、樫本氏のファンに半ばなりかけたところで演奏を聴きたくなり、Applemusicを探すと、エリック・ル・サージュと共演したフォーレの録音がありました。

爽やかで、そこはかとなく情緒の薫る上品な演奏で、あまり押しの強くないところがとても好ましく思えました。機会があればぜひ、ソリストとしての実演を聴いてみたいです^ ^

 


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