3人のオランダ人ピアニスト
ユッセン兄弟とハンネス・ミンナール
Arthur Jussen(Born in 1996)
Lucas Jussen (Born in 1993)
Hannes Minnaar (Born in 1984)
私の狭い好みにひっかかるピアニストの中で、オランダ人のピアニストが3人(そのうちの2人は兄弟なので、厳密には2組と言ったほうがよいのか?)もいるのはちょっと不思議な気がする。
なぜって、世界に数多いるピアニストのうち、オランダ出身の方ってほとんど名前を聞かないから。有名な作曲家がいないことも含めて、英国と同じくらい、ピアノの世界においては不毛の地…?(ピアノ以外の器楽奏者や指揮者においてはその限りではありませんが)
オランダといえば風車とかコンセルトヘボウとか、ミッフィーちゃんとか、平均身長が大きいとか、安楽死公認とか、飾り窓とかマ〇〇ァナとか(あれ、なんかダークな方向に…^^;)まあ色々と頭に浮かぶのだけど…一番のイメージは質実剛健、だろうか。名より実を取り、堅実であることを重視しているから、無意味に着飾ることをしない人々、というイメージ。
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堅実かつ洗練された音楽
そういうイメージと重ね合わせたわけではないけれど、彼らの音楽の根底には何より、音楽に対して堅実であることへのこだわりを感じる。
例えば、彼らの弾くベートーヴェン。楽譜の音をどこまでも丁寧になぞり、テンポも強弱も楽譜に書かれたこと以上のことはしない。己の感情に任せて弾くのは、虚飾に通ずる、と思い込んでるかのような節さえある。激情がほとばしるベートーヴェン、に慣れてしまってると、ずいぶんと地味に聴こえるかもしれない。
Lucas Jussen - Beethoven 'Waldstein' Sonata
↑絶対に暴走しない「ワルトシュタイン」
Discover The Sound - Excerpt from Beethoven's 5th piano concerto by Hannes Minnaar
↑大見得を切らない「皇帝」
その代わりに、というべきか、彼らは音色で演奏に陰影と彩を与える。音色に関しては、センスが合うかどうか、としか言えないのだが(例えば、私はショパンの演奏では神のように崇められている、某有名ピアニストの出す音が大変苦手だ)、彼らの音はどんなにffを出しても柔らかい余韻が残る上(恐らく、打鍵によるもの)、ペダルを多用しないのですっきりと洗練されているように聴こえる。
一音一音にいかに気を配っているかは、ルーカス・ユッセンの弾く「月光」2楽章だったり、ハンネス・ミンナールの弾くベートーヴェンのピアノコンチェルトの緩徐楽章を聴けば、良くわかるはず。
彼らの演奏は、フェルメールの絵画のように、対象物に誠実に向き合って描写することと、美は限りなく両立できることを教えてくれる。
ユッセン兄弟 追記
ユッセン兄弟に関しては、どうにも容姿ばかりが目立ってしまうが、M.J.ピレシュの弟子であったこともわかるように、大変な実力者。最近はファジル・サイの曲を弾いたり、ピレシュの陰から脱却しようとしている印象がある。ルーカス(兄)とアルトゥール(弟)の見分け方は、オールバックの髪型にしてる方が弟。アルトゥールの弾き方が、音色も含めて、最近一段と良い方に変わってきた気がするのは気のせいか…
Mozart: Piano Concerto No. 7, 'Lodron', KV. 242 - Arthur en Lucas Jussen - Live concert HD
ハンネス・ミンナール 追記
この動画でミンナールを知ったのだが、バッハも言うまでもなく素晴らしいので、録音をお待ちしてる。
Hannes Minnaar J. S. Bach Ferruccio Busoni: Nun komm der Heiden Heiland BWV 659
ショパンのピアノ協奏曲2番の第2楽章。情に流されない演奏…
Discover The Sound - Excerpt from Chopin by Hannes Minnaar
来日されたことあるのかな?と調べたら、2013年に武蔵野文化事業団さんが招聘されているようなので、またの機会にぜひ…お願いします。(その時の公演のプログラムがこちらに載ってますが、なんて素敵なプログラム!)
ハンネス・ミンナール ピアノ・リサイタル | 公益財団法人 武蔵野文化事業団
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長文をお読み下さり、ありがとうございましたm(_)m