まどれーぬの音楽帳

クラシック音楽(主にピアノ曲)が好きな主婦です。好きな曲、好きなピアニスト、再開したピアノレッスンのこと、コンサートの感想などを気ままに綴ります。

11/30 ダニエル・ハリトーノフ ピアノリサイタル@横浜みなとみらいホール(大ホール)

ダニエル・ハリトーノフ

1998年、サハリン生まれ。5歳よりピアノを始め、7歳でモスクワ・フィルと共演。2013年には14歳でカーネギーホールデビュー、2015年のチャイコフスキー国際コンクールでは第3位入賞。(公演チラシより抜粋)

 

私はコンサートを選ぶ際、元々好きな奏者か、未知の奏者かにかかわらず、プログラムを重視します。

(基本は好きな作曲家の好きな曲だったり、興味のある曲)

もちろん、例外もありますが…

 

今回のプログラム(後述)は「ピアノ名曲選」のお題目通り、ベタすぎて通常なら私のセンサーには引っかからないのですが、Twitterにて奏者の悪くない評判を見かけたのと、この若さでチャイコフスキーコンクール3位、という経歴はなかなかの実力者かも?と、好奇心を刺激され、聴きに行くことに。

(…ほんの1ミリぐらい、ご覧の通りの王子様系のルックスに惹かれた、というのも否定しませんよ^ ^;)

 

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プログラム

モーツァルト:幻想曲 ニ短調 K.397

ベートーヴェン:ピアノソナタ 第14番 月光

              第23番 熱情

 (休憩)

ショパン:バラード 第1番 ト短調

    ノクターン 第2番 変ホ長調

    即興曲 第1番 変イ長調

    ノクターン 第20番 嬰ハ短調 遺作

    ポロネーズ 第6番 英雄

 

リスト: 愛の夢 第3番

     ハンガリー狂詩曲 第2番 嬰ハ短調

 

☆アンコール☆

ラフマニノフ:前奏曲「鐘」

ショパン:エチュード「大洋」

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清々しいまでに技巧曲、有名曲のオンパレードで、色んな意味でピアニスト殺し?のプログラム^ ^; ここにご本人の意思はあるのでせうか?などと余計な心配。

とはいえ、名曲の陰にひっそりと、モーツァルトの幻想曲、ショパンの即興曲1番、という、やや通好みの曲たちが配されており、個人的には、これらの曲の方に期待してました。

 

さて、実演を聴いてどうだったかと申しますと。

全体を通して、音色の美しさ、ストレートな解釈、タッチの正確さ、等、褒めるべきところの沢山ある演奏だったと思います。

ですが、曲によってムラがあったというか、私の好みに合わないものもあったのも事実。

期待していたモーツァルトの幻想曲、ショパンの即興曲、ノクターン、小品の数々は素晴らしい演奏。

特に、クリアで粒の丸い音で奏でられるモーツァルトは始まってすぐに身を乗り出したほど。

繊細なタッチ、憂いを帯びた音色に、この方がモーツァルトのピアノ協奏曲20番を弾いたらさぞ素晴らしいのでは?と妄想が止まらず。

ショパンの即興曲、ノクターン、における、旋律の揺れ動きとともに移り変わる音色の変化にもため息が出ました。

ところが…

これがベートーヴェン「熱情」「月光」、ショパン「英雄ポロネーズ」、リスト「ハンガリー狂詩曲」等の技巧曲になると、あんなに豊かな音色で歌っていたピアノが、やや一本調子になり、タッチの粗さが目につくようになってしまう。

まあ、フォルティシモが続出する曲では、タッチが多少粗くなるのは仕方ないことなのですが、重和音の連打など、技術的な難所に差し掛かると同時に、フレージンがやや寸詰まった感じになるのが残念でした。

また、これは完全に私の好みなのですが、激しい曲の中にもここは極上の音色を弾いて欲しい!というポイントがいくつかあり、それが完全にスルーされていて、技巧をこなすのに精一杯なのかな?と穿った見方になってしまいました。

(特に気になったのはベートーヴェンでしょうか…月光、熱情の第3楽章はff とppをもっと弾き分けて欲しかったのと、難所ではないですが、第2楽章をもっと美しい音色で繊細に弾いてほしかった)

いや、もちろん聴いていて危なっかしい、とか、聴き苦しい、いうことは全くなく「大変よく弾けて」らっしゃるのですが。

(それだけでも充分に凄いことであるのは承知しております。)

…小曲をあれだけ美しく弾けるのだから、そのエッセンスを大曲にもドバドバ注入してほしい、なんて願ってしまうのは欲張りですよね、やっぱり^^;

そもそもこのプログラムが…(まだ言ってる)

 

彼に似合いそうなプログラムを考えてみたのですが、アンコールのラフマニノフの仄暗い演奏に心惹かれたので、意外に合ってるのかもしれません。(手も大きかったし)

そしてやはり、大曲も悪くないですが、しっとりした小曲- ショパンの小品(夜想曲、マズルカ、ポロネーズ)や、モーツァルトのソナタ、などを聴いてみたいなと思いました。リストなら、ロ短調ソナタみたいなちょっと凝ったやつ。

モーツァルトとラフマニノフのピアノ協奏曲なんかもいいんじゃないかと。(妄想が過ぎますね。すみません。)

なんたって、まだ19歳!!

コンクールなんかにもまだまだ出られるでしょうし、これからのこ活躍が

楽しみです。

 

 

(おまけ その1)

ステージ上のダニエル君、遠目で見てもかなりの長身でお写真以上に麗しいルックスの方でした。

立ち居振る舞いも堂々としていてスマート、ホントに王子様みたい 笑

(でも、アンコール、2回目くらいの拍手の後にすぐ弾き出しちゃうところに初々しさを感じたり)

 

 (おまけ その2)

数年前のですが、モーツァルトのピアノ協奏曲9番(ジュノーム)を弾いてる動画がありました。期待通り、素晴らしいんですが、アンコールのラフマニノフ(音の絵)が圧巻。

 

www.youtube.com

 

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長文をお読み下さり、ありがとうございましたm(_)m