まどれーぬの音楽帳

クラシック音楽(主にピアノ曲)が好きな主婦です。好きな曲、好きなピアニスト、再開したピアノレッスンのこと、コンサートの感想などを気ままに綴ります。

2017年に聴いたコンサートを振り返る

2017年も早いものであと一週間(え、うそ?)年々、時間の流れが早まってる気がするのは老化現象でしょうか…

 

今年は私にとってコンサート元年?、とでもいうべき年でした。

というのも、わたくし、実は2013年〜2016年末まで、シンガポールという国に住んでおり、それ以前はライトな音楽ファンというか、あまりコンサート行きたい欲求がなかったんですよね。(音源を聴くだけで満足してた幸福な時代^^)

本格的にクラシック音楽にはまったのはちょうど日本から離れた時だったのですが、かの国では日本ほど頻繁にはコンサートが開催されていませんでした。コンサートホールといえば大きなのと室内楽用の小さなホールが1個ずつ。オーケストラはシンガポール交響楽団、というちゃんとしたのが一つありました(結局聴けませんでしたが)。ピアノに至っては…シンガポール人の世界的ピアニストってそういえばいらっしゃらない…ということを考えれば色々とお察しかと。経済的には日本より断然に先進国ですが、クラシック音楽においては…^^; 日本(の東京)ほど、クラシック音楽の演奏会が充実してる国はアジアの中ではないです、間違いなく。

話がだいぶ逸れましたが。

そんな中でもいくつか思い出深いコンサート体験もでき、日本への帰国が決まった際には寂しい反面、帰ったら沢山ピアノのコンサートに行けるー!という嬉しい気持ちもありました。Twitterで皆様が日々コンサートの感想を呟いてるのを見て、いーないーな、と歯噛みをしてた私も、晴れて行きまくるわよ!と…

実際帰ってみると、子どもの面倒はどうするの、とか、そもそもお金が…(専業主婦なもので^^;)とか色々問題があり、欲望のままに行くわけにはいかず。(夫との協議を経て、夜のコンサートは月1回までということで落ちついてます…)

魅力的なコンサートは数あれど吟味せざるを得ず、私が行く公演は元々音源を聴いて好きだった奏者、そうでない場合は好きな曲目のものに限られるので、大変偏ってます 笑

 

前置きが長くなりましたが、そんな風に選んで聴いたコンサート(ほとんどがピアノリサイタル)について、せっかくなのでここでまとめて振り返ってみようと思います。

 

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2017年に聴いたコンサート

2月 セドリック・ペシャ@すみだトリフォニーホール

3月 アンドラーシュ・シフ@東京オペラシティ

4月 ジャン・ロンドー チェンバロリサイタル@東京文化会館(小ホール)

5月 レミ・ジュニエ @LFJ2017

   アブデル・ラーマン・エル=バシャ@LFJ2017

   大塚直也 チェンバロリサイタル@ウェスタ川越

6月 ドミトリー・シトコヴェツキー・トリオ ~J.S.バッハの世界@銀座ヤマハホール

7月 フランチェスコ・トリスターノ@王子ホール

9月 ガスパール・ドゥエンヌ@王子ホール

   オーギュスタン・デュメイ&レミ・ジュニエ/デュオリサイタル@紀尾井ホール

10月 ラファウ・ブレハッチ@フィリアホール

11月 アンリ・バルダ@東京文化会館小ホール

   ポール・ルイス@王子ホール

   ダニエル・ハリトーノフ@横浜みなとみらいホール

 12月 ヤン・リシエツキ@紀尾井ホール

 

(6月に、藤田真央君をベーゼンドルファーサロンで聴いてますが、これは無料のミニコンサートなので、数には入れませんでした。)

 

全15しかない演奏会中、ゴルトベルク変奏曲の公演が4つもあるのですが、もう病気なので放っておいてください^^;こうしてリストアップすると、どのコンサートも(好みに合う合わない、は多少あるにせよ)素敵な音楽体験だったなーとしみじみします。私は開演後、奏者がステージに出てきてお辞儀、その後最初の1音が弾かれる瞬間が身震いするくらい好きなのですが、あの緊張感、期待感を超えるものは他にないですね。そして、演奏が素晴らしいと観客の集中力もぐぐっと増して、それに応えて奏者もより高いレベルの演奏をする…という幸せな体験ができるのも生演奏ならではです。(こうして人は生音中毒になる…)

印象的だった演奏~シフ・ロンドー・トリスターノ・ブレハッチ

さて、この中で特に印象深かったの挙げると、シフ、ロンドー、トリスターノ、ブレハッチでしょうか。

 シフは2016年の秋にシンガポールでリサイタル(オールバッハ)と協奏曲(ベートーヴェン)を聴いていますが、正直に言うと今回の方が好みの音色でした。(ピアノが違う、と言ってしまえばそれまでですが)アンコールに弾かれた澄み切った音色のモーツァルトの慈悲ぶかさときたら…あの境地に達することのできるピアニストが今の若手の中にいるだろうか、とか、色々と考えてしまいました。

ロンドーはチェンバロによるゴルトベルク変奏曲。以前から彼の録音は好んで聴いていましたが、ゴルトベルクは録音していないので期待度MAXで臨みました。エキセントリックな見た目から、なんとなくトリッキーに弾くのかと思っていたら、ものすごく丁寧な演奏で、いい意味で予想を裏切られました。ピアニストがヴィルトゥーゾっぽく弾く変奏も内省的に弾いてたのが良かったです。

トリスターノのバッハは、純粋なクラシック音楽のピアノとはかなり違うので、衝撃でした。音色が生ピアノっぽくなくてピコピコしてて、ビート感も強く、電子音楽のような感じ。フランス風序曲とイタリア協奏曲にゴルトベルク、という黄金プログラムだったのですが、フランス風序曲の「序曲」の4つ打ち感がかっこよくて一番印象的でした。アンコールの自作曲も超絶クールで(ついでに言うと、立って演奏するので、足が…めちゃくちゃ長いのが良くわかる)、ちょっと骨抜きにされてしまいました 笑

ブレハッチはこれまで特にファンというわけではなかったのですが、2月にリリースされたバッハアルバムに感銘を受けたのと、プログラムにもバッハがあったので聴きに行ってみたら、予想以上に素晴らしかった。CDで聴くより、音色のパレットが豊富。一緒に聴いた母(初心者)も「ねえ、この人、すごくうまいんじゃない?ピアノの音が今まで聴いたことないような音がするもの」と興奮しておりました。(ブレハッチ様に大変失礼)この後、ご本人の体調不良でオペラシティ公演が中止となったり、色々と騒がしかったですね。あー、また彼の生音を聴きたい、と身悶えしていますが…(3月の再来日公演、残念ながら私は行けませぬ)

 

来年もこのペースで聴きに行きたいなーと思いながらも、夫には「行き過ぎ」と釘を刺されており、どうなるか…(とほほ)年明けのコンサートは今のところ2月までお預けです。またコンサート日記を書ける日が楽しみです^^

 

※シンガポール人の世界的ピアニストはいない、と言い切ってしまいましたが、2015年のショパンコンクールで3位入賞し、日本でも人気のケイト・リウさんはシンガポール生まれです。(8歳で米国に移住し、米国籍をとられていますが、もしシンガポール人のままだったら、快挙となり大盛り上がりだったでしょうね…)

 

チケットぴあ